Webデザイン

グラフィックデザイナーが初めてWebデザインを行う際の注意点

グラフィックデザインの経験を活かしてWebデザインに挑戦しようとしている方も多いでしょう。しかし、Webデザインには独自のルールや技術が存在し、印刷物のデザインとは異なる点がたくさんあります。
この記事では、特に元グラフィックデザイナーが初めてWebデザインを行う際に気を付けるべきポイントについて、詳しく解説します。カラーモードやフォント、画像の扱いなど、Webデザイン特有の注意点を学びましょう。

グラフィックデザインとは

まずはグラフィックデザインの特徴について振り返りましょう。グラフィックデザインは、ポスター、パンフレット、ロゴ、名刺などの印刷物を中心に、視覚的にメッセージを伝えるためのデザイン作業を指します。基本的に印刷を前提としているため、色の再現性や紙の質感など、印刷特有の要素を考慮する必要があります。

また、使用するカラーモードは主にCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)で、フォントやグラフィックは高解像度で細部まで鮮明に表現されることが求められます。このため、デザインの解像度は高く、印刷用に最適化されています。

Webデザインとは

一方、Webデザインはインターネット上で表示されるWebページのデザインを指します。主にWebブラウザやモバイルデバイス上で表示されるため、閲覧者が使用するデバイスや画面サイズに合わせてレスポンシブに対応する必要があります。

また、Webデザインではファイルサイズの最適化や表示速度、ユーザビリティも重要な要素となります。色やフォントの選び方も、Web特有の仕様に準じて設計されます。特に、画面上での可読性や動作の軽快さが重視されるため、画像やフォントの選択には慎重さが求められます。

何が違うの?

グラフィックデザインとWebデザインの主な違いは、カラーモード、フォント、解像度、データの扱い方です。それぞれの違いについて、以下で詳しく解説します。

1. カラーモード

グラフィックデザインでは、印刷物に適したCMYKカラーモードが主に使用されますが、WebデザインではRGBカラーモード(赤、緑、青)が使用されます。RGBはデジタルスクリーンで使用される色の表現方法であり、sRGBカラープロファイルで画像やグラフィックを保存することが一般的です。

印刷用のCMYKでデザインを作成してしまうと、Webブラウザやモバイルデバイスで正確な色を表示できないことがあります。このため、Webデザインを行う際は、最初からRGBモードで作業を開始する必要があります。

2. 画像の扱い

グラフィックデザインでは、高解像度の画像が使用されることが多く、データサイズも大きくなります。しかし、Webデザインでは、画像のファイルサイズを最適化し、ページの読み込み速度を維持することが重要です。

JPEGやPNGなどの画像フォーマットを使用する際は、必ず「Web用に保存」を使用して、ファイルサイズを小さくし、sRGBカラープロファイルで保存する必要があります。また、過剰な解像度や不要なデータは削除し、画像がWeb上で最適な状態になるように調整します。

3. フォント

印刷物では自由にフォントを選べますが、Webデザインでは使用できるフォントに制限があります。Webブラウザで正しく表示されるためには、Google Fontsやシステムフォント(Arial、Verdana、Times New Romanなど)のようなWebセーフフォントを使用することが推奨されます。

Webセーフフォントを使用しない場合、閲覧者の環境によっては、意図しないフォントに置き換えられる可能性があり、デザインの一貫性が損なわれることがあります。

Webデザインデータをコーダーに渡す際の注意点

1. 画像の最適化

JPEGやPNG形式の画像をコーダーに渡す際は、必ず「Web用に保存」を使って、ファイルサイズを最適化し、sRGBカラープロファイルで保存しましょう。また、過剰な解像度や余分なデータを含む画像は不要です。ページの読み込み速度に影響を与えないように、最適なファイルサイズを心がけます。

2. カラーモードをRGBに統一

前述の通り、WebデザインではRGBカラーモードが使用されます。印刷物用のCMYKモードでデザインを進めてしまうと、Webで意図した色が再現されません。IllustratorやPhotoshopのカラーモードをRGBに変更し、sRGBカラープロファイルを適用しておくことが重要です。

3. Webで使用できるフォントに制限がある

印刷物のデザインでは、自由にフォントを選べることが多いですが、WebデザインではWebセーフフォントGoogle Fontsなど、ブラウザで正しく表示できるフォントを使用する必要があります。

Webセーフフォントとは、ほとんどのOSやブラウザでサポートされているフォントのことです。具体的には以下のようなフォントがあります。

  • Arial
  • Verdana
  • Times New Roman
  • Courier New

また、よりデザインに柔軟性を持たせたい場合には、Google FontsなどのWebフォントを利用することも可能です。ただし、Webフォントを使用すると読み込み速度に影響を与えることがあるため、適切な数に抑えることが重要です。

4. サイズとピクセルベースの考え方

Webデザインでは、デザインのサイズはピクセル単位で指定されるため、グラフィックデザインで使われる「mm」や「cm」といった単位は使用しません。また、解像度に関しても、印刷用の300dpiとは異なり、Webでは72dpiが標準です。
デザインの最初から72dpiで作業を進め、画面サイズに合ったデザインを作成することが求められます。

まとめ

グラフィックデザインとWebデザインは、異なる環境で表示されるため、それぞれのルールや制約を理解してデザインを進めることが重要です。特に、カラーモードやフォント、画像の扱いについては、Webデザイン特有の最適化が必要です。
印刷物のデザイン経験を活かしつつ、Webデザインならではの注意点に配慮して、スムーズにコーダーにデザインデータを渡せるようにしましょう。

 
※参考にされる場合は自己責任でお願いします。