Googleドライブの共有ドライブを外付けハードディスクやNASに自動でバックアップする方法をわかりやすく解説します。
ここでは無料のツール「rclone」を使って、バックアップを自動化する手順を紹介します。
はじめに
バックアップはデータを安全に保つために非常に重要です。このガイドでは、Googleドライブのデータを外部デバイスに定期的に同期させる方法を説明します。
「rclone」とは
rcloneは、さまざまなクラウドストレージサービスとローカルファイルシステム間でファイルを同期や転送するためのコマンドラインプログラムです。対応しているクラウドストレージには、Googleドライブ、Amazon S3、Dropbox、Microsoft OneDriveなどがあります。このツールはGo言語で書かれており、高い移植性と効率を持ち合わせています。
rcloneのメリット
- 多様なクラウドサービスとの互換性:
多くの異なるクラウドストレージプロバイダーと連携できるため、一つのツールでさまざまなサービスを管理できます。 - 高度な同期オプション:
単純なコピー、同期、移動だけでなく、ファイルの暗号化、圧縮、チャンク分割など、高度な機能を提供します。 - スケジュールによる自動化:
cronジョブやタスクスケジューラを利用して、バックアップや同期を自動的に行うことができます。 - コスト効率:
無料で使用でき、オープンソースであるため、カスタマイズや改良が可能です。
rcloneのデメリットと注意点
- コマンドラインインターフェース:
GUIがないため、コマンドライン操作に慣れていないユーザーには使いにくいかもしれません。 - データ通信量:
大量のデータを頻繁に同期する場合、インターネットのデータ使用量が増加するため、データプランに注意が必要です。 - セキュリティ設定:
適切なセキュリティ設定を行わないと、認証情報が漏洩するリスクがあります。特に公共のネットワークを使用する場合は注意が必要です。
必要なもの
- Googleドライブアカウント
- 外付けハードディスクまたはNAS
- バックアップ用のPC
- インターネット接続
Step 1:rcloneのインストール
まず、
からあなたの使用しているOS(Windows、macOS、Linuxなど)に合わせてrcloneをダウンロードし、インストールします。
ダウンロード後、指示に従ってインストールします。これにより、Googleドライブとの連携が可能になります。
Step 2:Googleドライブの設定
rcloneの設定
- インストール後、コマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(macOS/Linux)を開きます。
- rclone config と入力し、エンターキーを押して設定を開始します。
- 新しいリモート設定を作成するために n を選択し、リモートの名前を入力します(例:google_drive)。
Google APIの設定
- ストレージタイプとして Google Drive を選択した後、画面の指示に従います。
- ※1「Google Cloud Platform」にアクセスし、新しいプロジェクトを作成します。
APIとサービスから「Google Drive API」を有効にし、認証情報を作成するために「OAuth 2.0 クライアント ID」を選択します。 - 認証情報のダウンロードが完了したら、そのJSONファイルをrclone設定時に指定します。
- rcloneがGoogleドライブへのアクセス許可を求めるため、表示されるリンクをブラウザで開き、Googleアカウントでログインして認証を完了させます。
※1
Google Cloud Platform (GCP) で新しいプロジェクトを作成する際には、組織リソースが必要な場合と必要でない場合があります。個人アカウントや小規模な使用の場合、組織リソースなしでプロジェクトを作成することが一般的です。しかし、企業や大規模な組織では組織リソースを設定することが推奨されています。以下の手順で進めることができます。
組織リソースがない場合のプロジェクトの作成
- Google Cloud Platform にアクセス:
Google Cloud Console にアクセスし、右上の「ログイン」ボタンをクリックしてGoogleアカウントでログインします。 - プロジェクトの作成:
画面上部のプロジェクト選択部分にある「プロジェクトを選択」をクリック後、新規プロジェクト作成画面で「プロジェクトを新規作成」を選択します。 - プロジェクトの詳細を入力:
プロジェクト名と、必要に応じて請求先アカウント(クレジットカード情報など)を設定します。組織リソースがない場合は、プロジェクト名と請求先アカウントだけを設定すれば大丈夫です。 - プロジェクトの作成:
必要な情報を入力したら、「作成」ボタンをクリックしてプロジェクトを作成します。
組織リソースを作成する場合
もし組織リソースを必要とする場合(例えば、企業で複数のプロジェクトを管理したい場合)、以下のステップが必要です。
- Google Workspace または Cloud Identity アカウントの設定:
まず、Google Workspace(旧称 G Suite)または Cloud Identity のアカウントを設定する必要があります。これにより、組織のメールアドレス(@your-company.com など)に基づいた管理が可能になります。 - Google Workspace または Cloud Identity で組織を作成:
アカウントを設定したら、そのアカウントで組織を作成します。これにより、その組織下でプロジェクトを管理できるようになります。 - Google Cloud Platform で組織リソースにプロジェクトを紐付け:
組織リソースが設定されたら、Google Cloud Console で新しいプロジェクトを作成し、そのプロジェクトを組織リソースにリンクします。
これらのステップに従って、個人ユーザーでも企業ユーザーでもGoogle Cloud Platform でプロジェクトを適切に設定し管理することが可能です。
Step 3:バックアップ設定
rclone sync コマンドを使用してGoogleドライブと外付けハードディスクまたはNASとの間でデータを同期させます。
rclone sync google_drive:共有ドライブ名 /path/to/backup --drive-shared-with-me
このコマンドは、「google_drive」を設定したGoogleドライブの共有ドライブから、指定したパスへとデータを同期させます。
具体的なコマンド例
パソコンのGドライブ(Googleドライブ)の共有ドライブ名「sharedrive」内にあるファイルを、パソコンのDドライブ直下「gdrivebkup」ディレクトリにバックアップ(同期)するコマンド例は以下の通りです。
rclone sync G:\共有ドライブ\sharedrive D:\gdrivebkup --drive-shared-with-me
Step 4:自動化の設定
データ同期を自動化するには、OSに応じたスケジューラを設定します。
- Windows:
タスクスケジューラを使い、作成したバッチファイルを指定して定期的に実行します。 - macOS/Linux:
cron を設定して自動実行します。例えば、毎日午前3時に同期するには以下のように設定します。
0 3 * * * /usr/local/bin/rclone sync google_drive:共有ドライブ名 /path/to/backup --drive-shared-with-me
これで、Googleドライブの共有ドライブのデータを外付けデバイスに自動でバックアップする設定が完了です。これにより手動での作業が不要になり、データの安全性が常に保たれます。
まとめ
rcloneは、多様なクラウドストレージサービスに対応し、強力なファイル同期とバックアップのオプションを提供するツールです。
GUIがないためコマンドラインが必要ですが、これをマスターすれば、データ管理の自動化と効率化が大幅に向上します。
個人ユーザーからビジネスユーザーまで、データの安全性を確保しながら、複数のクラウドサービスを簡単に管理できるため、非常に有効なツールと言えるでしょう。
※参考にされる場合は自己責任でお願いします。