「検索順位は維持しているのに、クリック率(CTR)が明らかに落ちている」

ここ最近、そんな違和感を抱いているメディア運営者やブロガーの方は多いのではないでしょうか。
その犯人は明白です。Google検索結果のトップに居座る「AI Overview(AIによる概要表示)」です。

ユーザーが知りたい答えをAIが検索結果画面で完結させてしまう「ゼロクリック・サーチ」。
これまでのSEOの将来性を根本から揺るがすこの事態に対し、我々メディア運営者はどう向き合うべきなのか。今回は、いち運営者として、そして業界の動向を注視する一人のマーケターとして、今後の「AIとメディアの関係性」を深掘りします。

GA4にカウントされない「AIによる閲覧」の恐怖

現状、最大の懸念点はここに尽きます。

AIが我々の記事を読み込んで回答を作成しても、ユーザーがサイトをクリックしない限り、GA4のPV(ページビュー)には一切カウントされない。

一生懸命取材し、執筆した一次情報がAIの学習データとして吸い上げられ、検索エンジンの利便性向上に使われるだけ使われて、こちらには1円の広告収益も発生しない。
極論を言えば、これは「情報のただ乗り」に近い状態です。

このままでは、体力のない個人ブログや中小メディアは閉鎖に追い込まれます。しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。
「情報源であるメディアが死滅したら、AIは何を元に学習するのか?」という点です。

SEOの将来性:Googleは「メディアの死」を放置するか?

結論から言えば、Googleも「共倒れ」は望んでいないはずです。
情報源(コンテンツクリエイター)がいなくなれば、Googleの検索品質そのものが崩壊するからです。

現在、業界内で議論されている、あるいは今後Googleが導入を検討するであろう「メディアへのメリット」には、以下のようなシナリオが考えられます。

1. 「AI PV」や新たな評価指標の導入

現在のGA4は「サイト着地」がベースですが、今後はGoogle Search Console(サーチコンソール)側での機能拡張が予想されます。

  • AI表示貢献度:AIの回答生成にどれだけ自サイトの情報が使われたか。
  • ブランドインプレッション:クリックされなくとも、AI回答内に「ソース」としてロゴや名前が表示された回数。

これらが可視化されれば、純粋なトラフィック(流入)とは別の指標として、広告主へのアピール材料になる可能性があります。

2. 「Perplexityモデル」への追随(収益分配)

AI検索エンジンの競合である「Perplexity」は、パブリッシャーに対し、記事が引用された場合に収益を分配するプログラムを発表しました。

Googleもすでに大手掲示板Redditなどとはライセンス契約を結んでいますが、この流れが一般の優良メディアにも波及する可能性はゼロではありません。
「クリック」ではなく「引用」そのものに価値が付く時代が来るかもしれません。

3. トラフィック誘導デザインの改善

直近のGoogleのテストを見ても、AIの回答文中に「引用元リンク」を大きく表示する傾向が強まっています。
Googleとしても「AIが答えて終わり」ではなく、「AIが要約し、詳細はリンク先で」という形にユーザー行動を誘導しなければ、Webのエコシステムが維持できないと理解している証拠です。

我々が今すぐやるべき「生存戦略」とは

とはいえ、「Google様が助けてくれる」のを待っているだけでは、事業は干上がってしまいます。
AI時代のSEO、そしてメディア運営において、今すぐ意識を変えるべきポイントは以下の2点です。

AIが書けない「生身の体験」への特化

一般的な解説や用語説明は、もうAIに勝てません。AIが生成できないコンテンツとは何か?

  • 実際に商品を使った時の「手触り」や「失敗談」
  • 現場に行かなければ撮れない「写真」や「動画」
  • 筆者の強烈な「主観」や「偏愛」

これらを含む記事こそが、AIの引用元として選ばれ(SGE対策)、かつAIの回答を見たユーザーが「もっと詳しく知りたい」とクリックする動機になります。

「指名検索」を勝ち取るブランディング

「何かを調べるためにGoogleを開く」のではなく、「あの人の意見が聞きたいから、あのブログを開く」という行動を促すこと。
SEO(検索流入)への依存度を下げ、SNSやメルマガ、コミュニティを通じて「指名検索」を増やすことが、最も確実なリスクヘッジです。

結論:SEOはオワコンではないが、ルールが変わった

SEOの将来性を悲観してサイト閉鎖を考えるのは時期尚早です。
しかし、「キーワードを網羅しただけのまとめ記事」で稼げる時代が終わったのは事実でしょう。

Googleも現在、AIとパブリッシャーとの間の「利益のバランス」を模索している過渡期にあります。
我々にできることは、AIの餌になるだけの情報ではなく、「人間が人間に向けて書いた、熱量のあるコンテンツ」を作り続けること。

皮肉なことに、AIが進化すればするほど、最後に価値を持つのは「最も人間臭いコンテンツ」なのかもしれません。

 
※参考にされる場合は自己責任でお願いします。

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