Web制作プロジェクトの成功には、適切なスケジュール作成が欠かせません。
この記事では、過去の制作事例をもとに、Webエンジニアがどのように制作スケジュールを策定するかについて詳しく説明します。
過去に「見積金額公開!Web制作会社エンジニアが考えるリアル見積単価と算出方法」をご紹介しました。ここで出した案件例を元に制作の見積もりから具体的なスケジュールまでのプロセスを見ていきましょう。
Web制作案件工数と見積内容
「見積金額公開!Web制作会社エンジニアが考えるリアル見積単価と算出方法」での制作案件例と前提条件は以下の通りです。
ある企業のオフィシャルサイト制作を例に、見積もりとそれに伴う工数を説明します。制作案件は次の条件で行われました。
・会社のオフィシャルサイト15ページのWebサイト
・デザイン
・HTMLコーディング(レスポンシブサイト)
・CMS構築(WordPress)
・サイトに掲載する素材(テキスト、写真等)有り
・ドメイン、サーバー環境有り
そして、上記案件例から私が算出した見積内容と工数は以下の通りになります。
会社オフィシャルサイト制作 ⇒ ¥1,701,700(税抜)
[ディレクション・進行管理費]
ディレクション・進行管理費(10%)/1式/¥154,700
[サイト設計費]=小計¥100,000
サイト設計/1式/¥100,000
・サイトマップ作成
・ワイヤーフレーム作成
・CMS選定
・その他ページ内機能設計
[デザイン費]=小計¥560,000
PCページデザイン
・TOPページ/1P/¥80,000
・第二階層ページ/5P/¥40,000/¥200,000
・その他下層ページ ベース/1P/¥40,000/¥40,000
スマホページデザイン
・TOPページ/1P/¥60,000/¥60,000
・第二階層ページ/5P/¥30,000/¥150,000
・その他下層ページ ベース/1P/¥30,000/¥30,000
[HTMLコーディング費]=小計¥442,000
TOPページ/1P/¥60,000/¥60,000
第二階層ページ/5P/¥30,000/¥150,000
その他下層ページ/9P/¥15,000/¥135,000
スマホページレスポンシブ対応
・TOPページ/1P/¥20,000/¥20,000
・第二階層ページ/5P/¥10,000/¥50,000
・その他下層ページ/9P/¥3,000/¥27,000
[JavaScript演出・構築費]=小計¥200,000
ページ内ヘッダーメニュー表示演出/2人日/¥40,000/¥80,000
TOPページ メイン切替コンテンツ演出/1人日/¥40,000/¥40,000
社員一覧ソート表示機能/2人日/¥40,000/¥80,000
[システム構築、CMS等構築費]=小計¥180,000
WordPress設定/1.5人日/¥40,000/¥60,000
・サーバー、DB設定
・WordPressインストール
・お問い合わせプラグイン追加、設定
お知らせCMS構築/3人日/¥40,000/¥120,000
[評価・テスト]=小計¥65,000
評価/6.5人日/¥10,000/¥65,000
・表示試験作業
見積工数から制作日数を抽出
見積内容からページ数と人日を抽出します。抽出内容は以下の通りです。
(※ディレクション・進行管理、サイト設計は除く)
会社オフィシャルサイト制作
[デザイン費]合計ページ数:14P
PCページデザイン
・TOPページ/1P
・第二階層ページ/5P
・その他下層ページ ベース/1P
スマホページデザイン
・TOPページ/1P
・第二階層ページ/5P
・その他下層ページ ベース/1P
[HTMLコーディング費]合計ページ数:30P
TOPページ/1P
第二階層ページ/5P
その他下層ページ/9P
スマホページレスポンシブ対応
・TOPページ/1P
・第二階層ページ/5P
・その他下層ページ/9P
[JavaScript演出・構築費]合計人日:5人日
ページ内ヘッダーメニュー表示演出/2人日
TOPページ メイン切替コンテンツ演出/1人日
社員一覧ソート表示機能/2人日
[システム構築、CMS等構築費]合計人日:4.5人日
WordPress設定/1.5人日
・サーバー、DB設定
・WordPressインストール
・お問い合わせプラグイン追加、設定
お知らせCMS構築/3人日
[評価・テスト]合計人日:6.5人日
評価/6.5人日
・表示試験作業
デザイン制作スケジュール
見積内容からデザインが必要なページ数は14Pとなります。
[デザイン費]合計ページ数:14P
PCページデザイン
・TOPページ/1P
・第二階層ページ/5P
・その他下層ページ ベース/1P
スマホページデザイン
・TOPページ/1P
・第二階層ページ/5P
・その他下層ページ ベース/1P
デザイナー1人で制作を想定すると1日2~3ページ程度は制作できると考えられるので余裕をもって1日2ページスケジュールを見積もった場合、
デザイン制作スケジュール:7人日
となります。
※制作作業が始まると最初のベースとなるページデザインに一番時間が掛かりますが、スケジュールはあくまで合計ページ数から何日位掛かりそうか想定で出してます。
HTMLコーディングスケジュール
※デザイン同様に最初のベースページコーディングに一番時間が掛かりますが、スケジュールはあくまで合計ページ数から何日位掛かりそうか想定で出してます。
[HTMLコーディング費]合計ページ数:30P
TOPページ/1P
第二階層ページ/5P
その他下層ページ/9P
スマホページレスポンシブ対応
・TOPページ/1P
・第二階層ページ/5P
・その他下層ページ/9P
コーディングが必要なページ数は30ページとなります。
コーダー1人でコーディングを想定すると1日5ページ程度はコーディングできると考えられるので、
HTMLコーディングスケジュール:6人日
となります。
JavaScript演出・構築、システム構築、CMS等構築、評価・テストスケジュール
JavaScript演出・構築、システム構築、CMS等構築、評価・テストに関しては見積の段階で人日工数が以下の通りで算出してます。
[JavaScript演出・構築費]合計人日:5人日
ページ内ヘッダーメニュー表示演出/2人日
TOPページ メイン切替コンテンツ演出/1人日
社員一覧ソート表示機能/2人日
[システム構築、CMS等構築費]合計人日:4.5人日
WordPress設定/1.5人日
・サーバー、DB設定
・WordPressインストール
・お問い合わせプラグイン追加、設定
お知らせCMS構築/3人日
[評価・テスト]合計人日:6.5人日
評価/6.5人日
・表示試験作業
上記見積工数から人日合計のみ抽出すると各スケジュールは以下の通りになります。
JavaScript演出・構築:5人日
システム構築、CMS等構築:4.5人日
評価・テスト:6.5人日
Web制作全体スケジュール
ディレクション・進行管理、サイト設計を除いた制作日数は以下の通りです。
デザイン制作(14P)スケジュール:7人日
HTMLコーディング(30P)スケジュール:6人日
JavaScript演出・構築:5人日
システム構築、CMS等構築:4.5人日
評価・テスト:6.5人日
Web制作合計:29営業日
「Web制作合計」からディレクション・進行管理、サイト設計におおよそどれ位掛かりそうかを想定します。
余裕を見て「Web制作合計」の1/3程度だと想定した場合、9営業日程となります。
ディレクション・進行管理、サイト設計:9営業日
上記から「Web制作全体スケジュール」は
Web制作全体スケジュール:38営業日(約2ヵ月程度)
となりますが、制作が進むにつれて「デザイン制作」と「HTMLコーディング」、「HTMLコーディング」と「システム構築、CMS等構築」等、同時進行可能な作業があったりするので、「Web制作全体スケジュール」はある程度調整可能です。
クライアントの希望納期・公開日から調整可能な作業をカレンダースケジュールに落として調整する必要があります。
まとめ
Web制作のプロジェクトを成功させるためには、適切なスケジュール管理と精緻な見積もりが不可欠です。本記事で紹介したように、案件内容に応じた各工程の工数を正確に見積もり、実際の制作日数を算出することが重要です。特に、デザイン制作やHTMLコーディングなどの工程は、制作の初期段階でベース作業に時間を割く必要があるため、その点を考慮したスケジュール設定が求められます。
また、制作の進行中に並行して進められる作業を見極め、効率的にスケジュールを組むことで、全体の制作期間を短縮できる可能性があります。クライアントの希望納期に柔軟に対応しつつ、品質を保つための適切なバッファも設けましょう。これにより、プロジェクト全体の進行がスムーズになり、納期厳守の高品質なWebサイトを提供できるでしょう。
※本記事内容はあくまで参考例となります。仕事等で流用される場合は自己責任でお願いします。