はじめに:なぜGoogleデータのバックアップが必要なのか?
私たちは日々、Googleの便利なサービスを当たり前のように利用しています。特に、Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、Googleスライドは、仕事やプライベートでの情報作成・管理に欠かせないツールとなっている方も多いのではないでしょうか。これらのデータはGoogleのクラウド(Google Drive)上に保存され、いつでもどこからでもアクセスできるのが大きな魅力です。
しかし、「クラウドにあるから安心」と油断していませんか? クラウドサービスは非常に信頼性が高いものの、100%安全とは言い切れません。例えば、以下のようなリスクが考えられます。
- アカウントの停止やアクセス不能: 何らかの規約違反やセキュリティ上の問題で、Googleアカウントにアクセスできなくなる可能性はゼロではありません。
- 操作ミスによるデータ消失: 誤って重要なファイルを削除してしまい、ゴミ箱からも完全に削除してしまうケース。
- 共有設定のミスによる意図しない変更・削除: 共同編集者が誤って内容を書き換えたり、削除したりする可能性。
- ランサムウェアなどのマルウェア感染: 万が一、アカウントが乗っ取られ、データが暗号化されてしまうリスク。
- Google側のシステム障害: 可能性は低いですが、大規模な障害により一時的または永続的にデータにアクセスできなくなるリスク。
これらのリスクに備え、大切なデータを守るためには、定期的にローカル環境(自分のパソコンなど)にバックアップを取っておくことが非常に重要です。特に、Googleスプレッドシート、ドキュメント、スライドで作成したファイルは、ビジネス文書や個人的な記録など、失うと大きな損害につながるものが含まれている可能性があります。
「でも、バックアップって難しそう…」「一つ一つ手動でダウンロードするのは面倒…」と感じるかもしれません。
ご安心ください! Googleが提供する「Google Takeout(Google データ エクスポート)」というサービスを使えば、驚くほど簡単に、そしてまとめてデータをバックアップすることができます。
この記事では、Google Takeoutとは何か、なぜGoogleスプレッドシートなどのバックアップが必要なのかを解説し、初心者の方でも迷わず実行できるよう、Google Takeoutを使ってGoogleスプレッドシート、ドキュメント、スライドのデータを安全にバックアップする手順を、画像(のプレースホルダー)を交えながら、ステップバイステップで詳しくご紹介します。
この記事を読めば、あなたの大切なGoogle上のデータを、簡単な手順で手元のパソコンに保存し、万が一の事態に備えることができるようになります。さあ、一緒にデータ保全の第一歩を踏み出しましょう!
Google Takeout(Google データ エクスポート)とは?
Google Takeout(グーグル テイクアウト)、正式名称は「Google データ エクスポート」は、Googleアカウントに保存されている様々なデータを、ユーザー自身が手元にダウンロード(エクスポート)できるようにするための、Google公式の無料サービスです。
まるでカフェでコーヒーをテイクアウトするように、自分のデータをGoogleのサーバーから「持ち出す」ことができる、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
どんなデータがエクスポートできるの?
Google Takeoutのすごいところは、対応しているサービスの幅広さです。以下のような、普段利用している多くのGoogleサービスのデータをエクスポートできます(一部例)。
- Google Drive: ファイルやフォルダ(スプレッドシート、ドキュメント、スライドを含む)
- Gmail: メール、添付ファイル
- Google Photos: 写真、動画
- YouTube と YouTube Music: 視聴履歴、登録チャンネル、アップロードした動画、コメントなど
- Google Chrome: ブックマーク、履歴、設定など
- Google Calendar: 予定
- Google Contacts: 連絡先
- Google Keep: メモ
- ロケーション履歴(Google マップ): 移動履歴
- その他、数十種類以上のサービスに対応
つまり、Google Takeoutを使えば、Googleアカウントに紐づく自分のデジタル資産の大部分を、一括または選択してダウンロードできるのです。
Google Takeoutを利用するメリット
Google Takeoutを利用することには、主に以下のようなメリットがあります。
- データの完全なバックアップ: クラウドだけでなく、ローカル環境にもデータを保存することで、より安全にデータを保護できます。
- 一括ダウンロード: 複数のサービスや大量のデータを、まとめてダウンロードできるため、手間がかかりません。
- データ移行: Google以外のサービスにデータを移行したい場合に利用できます。
- オフラインでのアクセス: ダウンロードしたデータは、インターネット接続がない環境でも閲覧・利用できます(ファイル形式によります)。
- データの棚卸し: 自分がGoogleにどのようなデータを預けているのかを確認する機会にもなります。
- 定期的な自動バックアップ設定: 一度設定すれば、定期的に(例:2ヶ月ごと)自動でバックアップデータを作成し、ダウンロードリンクを送ってもらうことも可能です。
- 無料: この便利なサービスを無料で利用できます。
このように、Google Takeoutは、データ管理と保護において非常に強力なツールとなります。
Googleスプレッドシート、ドキュメント、スライドとは?
Google Takeoutでバックアップする対象として、この記事では特に「Googleスプレッドシート」「Googleドキュメント」「Googleスライド」に焦点を当てます。これらはGoogle Driveの中核をなす、非常に便利なオフィス系アプリケーションです。すでにご利用の方も多いと思いますが、改めてそれぞれの特徴を見ていきましょう。
Googleスプレッドシート (Google Sheets)
Googleスプレッドシートは、Googleが提供する無料の表計算ソフトです。Microsoft Excelと非常によく似た機能を持ち、数値計算、データ分析、グラフ作成などが可能です。
- 主な用途: 家計簿、住所録、プロジェクト管理、簡単なデータベース、データ集計・分析、グラフ作成など。
- 特徴:
- Webブラウザ上で動作するため、ソフトウェアのインストールが不要。
- リアルタイムでの共同編集が可能。複数人で同時に同じシートを編集できます。
- 変更履歴が自動で保存され、過去の状態に簡単に戻せる。
- 豊富な関数やアドオン(拡張機能)が利用可能。
- Excelファイル(.xlsx)の読み込み・編集・書き出しに対応。
Googleドキュメント (Google Docs)
Googleドキュメントは、Googleが提供する無料の文書作成ソフトです。Microsoft Wordのようなワープロソフトで、報告書、議事録、手紙、ブログ記事の下書きなど、様々な文書を作成できます。
- 主な用途: レポート作成、議事録、企画書、マニュアル作成、小説・ブログ執筆、共有メモなど。
- 特徴:
- Webブラウザ上で動作し、インストール不要。
- リアルタイムでの共同編集、コメント機能が充実。
- 変更履歴の自動保存と復元機能。
- 音声入力機能など、便利な機能も搭載。
- Wordファイル(.docx)の読み込み・編集・書き出しに対応。
Googleスライド (Google Slides)
Googleスライドは、Googleが提供する無料のプレゼンテーションソフトです。Microsoft PowerPointのように、見栄えの良いスライドを作成し、発表に利用できます。
- 主な用途: 会議資料、セミナー資料、企画提案、製品紹介、授業用スライドなど。
- 特徴:
- Webブラウザ上で動作し、インストール不要。
- 豊富なテンプレートやテーマを利用可能。
- リアルタイムでの共同編集が可能。
- アニメーションや画面切り替え効果も設定可能。
- 発表者ツール(スピーカーノート、タイマーなど)も利用可能。
- PowerPointファイル(.pptx)の読み込み・編集・書き出しに対応。
クラウドベースであることの利点と注意点
これら3つのサービスに共通する最大の特徴は、クラウドベースであることです。つまり、作成したデータはインターネット上にあるGoogleのサーバー(Google Drive)に保存されます。これにより、
- 場所を選ばずにアクセス可能: インターネット環境があれば、どのデバイス(パソコン、スマホ、タブレット)からでもファイルにアクセスし、編集できます。
- データの自動保存: 編集内容は基本的に自動で保存されるため、「保存し忘れ」のリスクが低いです。
- 簡単な共有と共同編集: ファイルのURLを共有するだけで、他の人と簡単にファイルを共有したり、同時に編集したりできます。
といった大きなメリットがあります。しかし、その一方で、「はじめに」で述べたような、クラウド特有のリスクも存在します。だからこそ、Google Takeoutなどを利用したローカルへのバックアップが重要になるのです。
Googleスプレッドシート等はドライブ上にあり、ローカルにバックアップされない?
「Google Driveの同期アプリ(Google Drive for desktop)を使っているから、パソコンの中にファイルのコピーがあるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに、Google Drive for desktopを使えば、Google Drive上のファイルをパソコンの特定のフォルダと同期させることができます。
しかし、ここで注意が必要です。Googleスプレッドシート、ドキュメント、スライドのファイル(.gsheet
, .gdoc
, .gslides
などの拡張子に見えるもの)は、特殊なファイル形式です。Google Drive for desktopで同期される際、これらのファイルの実体そのものが常にローカルに保存されるとは限りません。
同期の仕組みと注意点
Google Drive for desktopには主に2つの同期方法があります。
- ストリーミング: ファイルは主にクラウド上にあり、必要に応じてローカルに一時的にダウンロードされます。ローカルのストレージ容量を節約できますが、オフラインでアクセスするには事前に「オフラインで使用可能にする」設定が必要です。Google形式のファイルは、この設定をしても実質的にはWebアプリへのショートカットのような役割を果たす場合が多いです。
- ミラーリング: クラウド上のファイルが常にローカルのフォルダにコピーされます。ローカルのストレージ容量を消費しますが、すべてのファイルがオフラインで利用可能です。しかし、この場合でも、Google形式のファイル(.gdocなど)をローカルで直接開こうとすると、結局Webブラウザが起動してオンラインのGoogleドキュメントが開く、という挙動になります。つまり、ファイルの実体データ(例えばWord形式のような独立したファイル)が常にローカルにあるわけではないのです。
したがって、Google Drive for desktopの同期機能だけでは、万が一Googleアカウントにアクセスできなくなった場合に備えた、完全なローカルバックアップとは言えない可能性があります。特に、Google独自のファイル形式のままでは、他のアプリケーションで開くことができません。
ローカルバックアップの重要性
やはり、以下のような理由から、独立したファイルとしてローカルにバックアップを保存しておくことには大きな意義があります。
- アカウント問題からの保護: Googleアカウントがロックされたり、削除されたりしても、ローカルにファイルがあればデータを失わずに済みます。
- オフラインでの確実なアクセス: インターネット接続がない状況でも、バックアップファイル(例えばWord形式やExcel形式に変換されたもの)があれば内容を確認・編集できます。
- 汎用性の高い形式での保存: Google Takeoutでは、スプレッドシートをExcel形式(.xlsx)、ドキュメントをWord形式(.docx)、スライドをPowerPoint形式(.pptx)など、一般的な形式に変換してダウンロードできます。これにより、Googleのサービスが使えない状況でも、他のソフトウェアでファイルを開くことができます。
- 意図しない変更からの復旧: もしクラウド上のファイルが誤って変更・削除されても、バックアップがあれば元の状態に戻せます。
そこで登場するのが、Google Takeoutです。Google Takeoutを使えば、これらのGoogle独自の形式のファイルを、指定した汎用的なファイル形式(Microsoft Office形式やPDFなど)に変換し、独立したファイルとしてまとめてダウンロードすることができます。これこそが、真の意味での安全なローカルバックアップと言えるでしょう。
Google Takeoutを使ったバックアップ手順と説明
お待たせしました!ここからは、実際にGoogle Takeoutを使って、Googleスプレッドシート、ドキュメント、スライドのデータをバックアップする手順を、ステップバイステップで詳しく解説していきます。
事前に準備するもの:
- バックアップしたいデータが含まれるGoogleアカウント
- インターネットに接続されたパソコン
- ダウンロードしたファイルを保存するための十分な空き容量(データ量によります)
Step 1: Google Takeoutのページにアクセスする
まず、Webブラウザを開き、Googleアカウントにログインした状態で、以下のURLにアクセスします。
または、Googleアカウントの管理画面 (https://myaccount.google.com/) にアクセスし、左側のメニューから「データとプライバシー」を選択し、少し下にスクロールして「データをダウンロード」をクリックしても同じページにたどり着けます。
このような「Google データ エクスポート」というタイトルのページが表示されればOKです。
Step 2: エクスポートするデータを選択する
Google Takeoutのページを開くと、デフォルトではエクスポート可能なすべてのGoogleサービス(データ)にチェックが入っています。数十個のサービスがリストアップされているはずです。
今回はGoogleスプレッドシート、ドキュメント、スライド(これらはGoogle Driveに含まれます)のみをバックアップしたいので、まずはすべての選択を解除しましょう。
- ページ上部にある「選択をすべて解除」という青い文字のリンクをクリックします。
- すべてのサービスのチェックボックスがオフになったことを確認します。
- リストを下にスクロールしていき、「ドライブ」を見つけます。
- 「ドライブ」の右側にあるチェックボックスをクリックして、チェックを入れます。
補足: もしGoogle Drive内の一部のフォルダだけをバックアップしたい場合は、「ドライブ」のチェックボックスの下にある「含まれるすべてのドライブ データ」ボタンをクリックすると、特定のフォルダを選択するオプションが表示されます。ただし、操作が少し複雑になるため、初心者の方はまずドライブ全体を対象にするのがおすすめです。
ファイル形式の選択(重要!)
「ドライブ」にチェックを入れると、その下にエクスポートするファイル形式を指定するボタンが表示されます。デフォルトの設定を確認し、必要に応じて変更しましょう。
- 「ドライブ」のチェックボックスの下にある「複数の形式」というボタンをクリックします。
- ポップアップウィンドウが表示され、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドなどをどの形式でエクスポートするか選択できます。
ここで重要なのは、Google独自の形式ではなく、一般的な形式を選択することです。おすすめの設定は以下の通りです。
- ドキュメント: Microsoft Word (.docx) または PDF (.pdf)
- スプレッドシート: Microsoft Excel (.xlsx) または PDF (.pdf)
- プレゼンテーション (スライド): Microsoft PowerPoint (.pptx) または PDF (.pdf)
- 図形描画: JPEG (.jpg), PNG (.png), SVG (.svg) または PDF (.pdf)
Microsoft Office形式(.docx, .xlsx, .pptx)を選択しておけば、後で編集が必要になった場合にも対応しやすいでしょう。PDFは編集には向きませんが、レイアウトを完全に保持したまま確認したい場合に便利です。目的に応じて選択してください。通常は、Microsoft Office形式を選択しておくのが最も汎用性が高くおすすめです。
選択したら、「OK」をクリックしてポップアップを閉じます。
補足: Google Driveには、スプレッドシート等のGoogleファイル以外にも、PDF、画像、動画など、様々なファイルをアップロードしている場合があります。それらのファイルは、基本的にアップロードした元の形式のままエクスポートされます。形式を選択するのは、主にGoogleドキュメント、スプレッドシート、スライド、図形描画などのGoogle独自のファイル形式に対してです。
データの選択が完了したら、ページの一番下までスクロールし、「次のステップ」ボタンをクリックします。
Step 3: ファイル形式、エクスポートの頻度、エクスポート先を選択する
次の画面では、エクスポートするファイルの形式や配信方法などを設定します。
配信方法(エクスポート先)
エクスポートが完了したデータをどのように受け取るかを選択します。以下の選択肢があります。
- ダウンロード リンクをメールで送信: GoogleアカウントのGmailアドレス宛に、ダウンロードリンクが記載されたメールが届きます。初心者の方には、この方法が最も簡単で分かりやすいのでおすすめです。
- Google ドライブに追加: エクスポートされたファイル(zipファイル)が、自分のGoogle Driveに追加されます。
- Dropbox に追加: お使いのDropboxアカウントにファイルが追加されます(連携設定が必要)。
- Microsoft OneDrive に追加: お使いのOneDriveアカウントにファイルが追加されます(連携設定が必要)。
- Box に追加: お使いのBoxアカウントにファイルが追加されます(連携設定が必要)。
今回は「ダウンロード リンクをメールで送信」を選択した前提で進めます。
エクスポートの頻度
バックアップをどのくらいの頻度で行うかを選択します。
- 1 回だけエクスポート: 今回一度だけバックアップを作成します。手動でバックアップを取りたい場合に選択します。
- 定期的なエクスポートをスケジュール設定(1 年間に 6 回): 2ヶ月に1回の頻度で、自動的にエクスポートが作成され、その都度ダウンロードリンクがメールで送られてきます。これを1年間(合計6回)繰り返します。定期的にバックアップを取りたい方におすすめです。
どちらを選ぶかは、ご自身のデータ更新頻度や管理の手間を考えて決めましょう。まずは「1 回だけエクスポート」で試してみて、必要であれば後から定期的なエクスポートを設定することも可能です。
ファイル形式とサイズ
エクスポートされるデータをまとめるファイルの形式と、1ファイルあたりの最大サイズを設定します。
- ファイル形式:
.zip
または.tgz
を選択できます。WindowsやMacで特別なソフトなしに解凍できる.zip
を選択するのが一般的でおすすめです。.tgz
は主にLinuxなどで使われる形式です。 - ファイルサイズ: エクスポートするデータの総量が大きい場合、ここで指定したサイズごとにファイルが分割されます。例えば、データ総量が 9GB で、ファイルサイズを 2GB に設定した場合、2GB のファイルが4つと、残りの約 1GB のファイルが1つ、合計5つのファイルが作成されます。選択できるサイズは 1GB, 2GB, 4GB, 10GB, 50GB です。
- インターネット回線が不安定な場合や、一度に大きなファイルをダウンロードするのが難しい場合は、小さめのサイズ(例:2GB)を選択するのがおすすめです。
- 回線が安定していて、管理するファイル数を少なくしたい場合は、大きめのサイズ(例:10GBや50GB)を選択しても良いでしょう。
すべての設定を確認したら、「エクスポートを作成」ボタンをクリックします。
Step 4: エクスポート処理の開始と完了通知の確認
「エクスポートを作成」ボタンをクリックすると、「Google では、ファイルのコピーを作成しています」というメッセージが表示され、エクスポート処理がバックグラウンドで開始されます。
この処理には時間がかかる場合があります。データの量によっては、数時間から数日かかることもあります。 処理中は、このページを閉じてしまっても問題ありません。Googleのサーバー側で処理が続けられます。
エクスポートの進捗状況は、再度Google Takeoutのページにアクセスすることで確認できます。「エクスポートの管理」セクションに、作成中のエクスポートが表示されます。
エクスポート処理が完了すると、Step 3で選択した配信方法に応じて通知が届きます。「ダウンロード リンクをメールで送信」を選択した場合は、GoogleアカウントのGmailアドレスに「Google データ エクスポートのファイルをご用意できました」といった件名のメールが届きます。
このメールが届いたら、いよいよファイルのダウンロードです。
Step 5: バックアップファイルのダウンロード
エクスポート完了通知メールを開き、メール本文にある「ファイルをダウンロード」ボタンをクリックします。
注意: このダウンロードリンクには有効期限があります(通常はメール受信から約7日間)。期限を過ぎるとダウンロードできなくなるため、メールが届いたら早めにダウンロードするようにしましょう。
「ファイルをダウンロード」ボタンをクリックすると、Googleアカウントのパスワードの再入力を求められる場合があります。セキュリティのためなので、指示に従ってパスワードを入力してください。
認証後、ダウンロードページが表示されます。Step 3で設定したファイルサイズによっては、複数のダウンロードボタンが表示される場合があります。すべてのファイルをダウンロードしてください。
ダウンロードが完了したら、指定した保存先に takeout-xxxxxxxxxxxxxxxxx-xxx.zip
のような名前のzipファイル(または分割された複数のzipファイル)が保存されていることを確認します。
Step 6: ダウンロードしたファイルの解凍と確認
ダウンロードしたzipファイルは圧縮されているため、中のファイルを確認・利用するには解凍(展開)する必要があります。
- Windowsの場合: zipファイルを右クリックし、「すべて展開」を選択して、画面の指示に従って解凍します。
- Macの場合: zipファイルをダブルクリックすると、自動的に解凍されます。
解凍すると、Takeout
という名前のフォルダが作成されます。このフォルダを開いてみましょう。
中には、エクスポート対象として選択したサービス名のフォルダがあります。今回は「ドライブ」のみを選択したので、「ドライブ」というフォルダがあるはずです。
「ドライブ」フォルダを開くと、あなたのGoogle Driveのフォルダ構成が再現された形で、ファイルが格納されています。そして、Googleスプレッドシート、ドキュメント、スライドのファイルが、Step 2で指定した形式(例:.xlsx, .docx, .pptx)に変換されて保存されていることを確認してください。
試しにいくつかのファイルを開いて、内容が正しく表示されるか確認してみましょう。Microsoft Office形式でダウンロードした場合、対応するOfficeソフト(Excel, Word, PowerPoint)や、互換性のある無料ソフト(LibreOfficeなど)で開くことができます。
これで、Googleスプレッドシート、ドキュメント、スライドのデータのバックアップは完了です!お疲れ様でした。
Google Takeoutを利用する上での注意点
Google Takeoutは非常に便利なサービスですが、利用する際にはいくつか注意しておきたい点があります。安全かつ確実にバックアップを行うために、以下の点を理解しておきましょう。
エクスポート処理には時間がかかる場合がある
前述の通り、エクスポートするデータの量やGoogleサーバーの混雑状況によっては、処理に数時間から数日かかることがあります。「今すぐバックアップが必要!」という状況には対応できない場合があるので、時間に余裕をもって操作するようにしましょう。定期的なエクスポートを設定しておくのも有効な対策です。
ダウンロードリンクには有効期限がある
メールで送られてくるダウンロードリンクは、通常1週間程度で無効になります。 メールを受け取ったら、忘れないうちに、できるだけ早くファイルをダウンロードしましょう。もし期限が切れてしまった場合は、再度エクスポートを作成する必要があります。
ダウンロードには十分なストレージ容量と安定した回線が必要
Google Driveには大量のデータを保存している場合が多いです。エクスポートされるファイルの合計サイズが数十GB、数百GBになることも珍しくありません。ダウンロードするパソコンや外付けHDDなどに、十分な空き容量があるか事前に確認しましょう。また、大容量ファイルをダウンロードするには、安定した高速なインターネット回線が推奨されます。ファイルサイズを小さく分割する設定も活用しましょう。
定期的なエクスポートとストレージ管理
定期的なエクスポートを設定した場合、2ヶ月ごとに新しいバックアップファイルが作成されます。ダウンロードリンクから毎回ダウンロードする場合、ローカルストレージの容量を圧迫しないように、古いバックアップを削除するなどの管理が必要です。また、エクスポート先をGoogle Driveなどのクラウドストレージに設定した場合も、そのストレージの容量を消費していくため、容量上限に達しないよう注意が必要です。
Google Takeoutは「エクスポート」であり同期ではない
Google Takeoutは、特定時点でのデータのコピーを作成するものです。一度エクスポートした後、元のGoogle Drive上のファイルを更新しても、エクスポートしたファイルが自動的に更新されるわけではありません。常に最新の状態をバックアップしたい場合は、定期的にエクスポートを行う必要があります。
ファイル形式の変換に伴う互換性の問題
Googleドキュメント等をMicrosoft Office形式などに変換してエクスポートした場合、多くの場合レイアウトや機能は保持されますが、100%完全に互換性があるわけではありません。 特に、複雑な書式設定、特殊な関数、マクロ(Google Apps Script)、一部のフォントなどは、変換後のファイルで正しく表示・動作しない可能性があります。重要なファイルについては、ダウンロード後に実際に開いてみて、問題がないか確認することをおすすめします。
共有設定や変更履歴などのメタ情報は失われる
Googleドキュメントなどの便利な機能の一つに、ファイルの共有設定や詳細な変更履歴がありますが、Google Takeoutでエクスポートしたファイルには、これらの情報は基本的に含まれません。あくまでファイルの内容そのもののバックアップであると理解しておきましょう。コメントなども保持されない場合があります。
サービスの仕様変更の可能性
Googleのサービスは頻繁にアップデートされます。Google Takeoutの機能やインターフェース、エクスポートできるデータの種類、ファイル形式の選択肢なども、将来変更される可能性があります。定期的に利用する場合は、設定内容などを時々確認すると良いでしょう。
バックアップしたファイルの管理
ダウンロードしたバックアップファイルは、適切に管理することが重要です。
- 安全な場所に保管する: パソコン本体だけでなく、外付けHDDや別のクラウドストレージなど、複数の場所にコピーを保管する(3-2-1ルールなどが参考になります)。
- 定期的に確認する: ダウンロードしたファイルが破損していないか、開けるかなどを定期的にチェックする。
- 整理する: いつバックアップしたものか分かるように、フォルダ名に日付を入れるなどして整理する。不要になった古いバックアップは削除する。
Google Workspaceアカウントの場合
会社や学校などで提供されているGoogle Workspace(旧 G Suite)アカウントを利用している場合、組織の管理者がGoogle Takeoutの利用を制限している場合があります。もしGoogle Takeoutのページにアクセスできなかったり、「エクスポートを作成」ボタンが押せなかったりする場合は、組織のIT管理者に確認してみてください。
まとめ:Google Takeoutで大切なデータを守ろう!
今回は、Google Takeout(Google データ エクスポート)を利用して、Googleスプレッドシート、ドキュメント、スライドなどの重要なデータを、安全かつ簡単にローカル環境にバックアップする方法を詳しく解説しました。
手順をまとめると以下のようになります。
- Google Takeout (https://takeout.google.com/) にアクセスする。
- 「選択をすべて解除」し、「ドライブ」のみを選択する。
- 「ドライブ」の「複数の形式」から、エクスポートしたいファイル形式(例:Microsoft Office形式)を選択する。
- 「次のステップ」に進み、配信方法(メール推奨)、頻度(1回 or 定期)、ファイル形式(.zip推奨)、サイズ(2GB推奨)を設定する。
- 「エクスポートを作成」をクリックし、処理完了を待つ。
- 完了通知メールのリンクから、有効期限内にファイルをダウンロードする。
- ダウンロードしたzipファイルを解凍し、中身を確認する。
クラウドサービスは非常に便利ですが、それに伴うリスクも存在します。予期せぬアカウントトラブルや操作ミス、システム障害など、万が一の事態に備えて、定期的に自分のデータを手元にバックアップしておくことは、デジタル時代の必須スキルと言えるでしょう。
Google Takeoutを使えば、専門的な知識がなくても、簡単なステップで重要なデータを保護できます。特に、仕事の書類や個人的な大切な記録をGoogle Driveで管理している方は、ぜひこの機会に一度試してみてください。そして、可能であれば「定期的なエクスポート」を設定し、継続的なデータ保全を習慣づけることを強くおすすめします。
この記事が、皆さんの大切なデジタル資産を守るための一助となれば幸いです。
※参考にされる場合は自己責任でお願いします。