Windows

Windows PCをルーター化!モバイルホットスポットとICS徹底活用術【IoT開発にも】

「外出先で急遽Wi-Fiが必要になった…」
「新しく買ったラズパイをネットに繋ぎたいけど、ルーターが遠い…」
「一時的にデバイスを有線接続したい!」

そんな時、いつも使っているWindows PCが即席のWi-Fiルーターになることをご存知ですか?
高価な専用ルーターを買わなくても、Windowsに標準搭載されている機能を使えば、PCのインターネット接続を他のデバイスに簡単に共有できます。

この記事では、初心者でも簡単な「モバイルホットスポット」機能から、有線接続で役立つ「インターネット接続の共有 (ICS)」まで、Windowsルーター化の具体的な手順を徹底解説。さらに、IoT開発での実用的な活用法までご紹介します!

【方法1】一番簡単!「モバイルホットスポット」でPCをWi-Fiアクセスポイント化

最も手軽で一般的な方法がこれです。PCが受信しているインターネット(有線LANでも、別のWi-FiでもOK)を、PC自体から新しいWi-Fi電波として飛ばす機能です。

こんな時に便利!

  • スマホやタブレットの通信量を節約したい時
  • ホテルが有線LANのみで、スマホもWi-Fiに繋ぎたい時
  • Wi-Fi機能付きのIoTデバイス(ラズパイやESP32など)をPCに直接接続したい時

設定手順 (Windows 11の場合)

  1. スタートメニューから「設定」(歯車アイコン)を開きます。
  2. 左側のメニューから「ネットワークとインターネット」を選びます。
  3. 一覧から「モバイル ホットスポット」をクリックします。
  4. 「インターネット接続を共有する」で、PCが今ネット接続に使っている方法(例: 「イーサネット」)を選択します。
  5. 「共有方法」が「Wi-Fi」になっていることを確認します。
  6. 「プロパティ」の「編集」を押し、Wi-Fi名 (SSID)パスワードを自由に設定します。
  7. 一番上の「モバイル ホットスポット」のトグルスイッチを「オン」にします。

たったこれだけで、あなたのPCがWi-Fiアクセスポイントに早変わり!他のデバイスのWi-Fi設定画面から、先ほど設定したSSIDを選んでパスワードを入力すれば接続完了です。

【方法2】有線LANで安定接続!「インターネット接続の共有 (ICS)」

こちらは少しマニアックですが、有線LANポートを活用する強力な方法です。「PCがWi-Fiで受信したネットを、有線LANポートから出力する」といった“橋渡し”ができます。

こんな時に便利!

  • PCはWi-Fiでしか繋げないが、ゲーム機や旧型PCを有線LANでネット接続したい時
  • 有線LANポートしかないラズパイを、PC経由でネットに接続したい時
  • Wi-Fiが不安定な環境で、PCとデバイスを安定した有線で繋ぎたい時

設定手順

  1. スタートボタンを右クリックし、「ファイル名を指定して実行」を選択。ncpa.cplと入力してEnterキーを押します。(「ネットワーク接続」一覧が開きます)
  2. インターネットに接続している側のアダプター(例: “Wi-Fi”)を右クリックし、「プロパティ」を選びます。
  3. 共有」タブを開きます。
  4. 「ネットワークの他のユーザーに、このコンピューターのインターネット接続をとおして接続を許可する」にチェックを入れます。
  5. 「ホーム ネットワーク接続」のドロップダウンから、共有したい先のアダプター(例: “イーサネット”)を選びます。
  6. 「OK」を押して完了です。

これで、PCの「イーサネット」ポートにLANケーブルを挿し、もう片方をゲーム機やラズパイに繋げば、インターネットが共有されます。

【応用編】ラズパイやIoT開発でも大活躍!Windowsルーター化の実力

この「Windowsルーター化」は、Raspberry Pi (ラズパイ) やArduino (ESP32) を使ったIoT開発の現場でも非常に役立ちます。

開発用途でのメリット

  • 別途ルーターが不要: 開発用のPCさえあれば、デバイスをすぐにネット接続できます。
  • 閉じたネットワークの構築: モバイルホットスポットを使えば、PCとIoTデバイスだけの独立したローカルネットワークを簡単に作れ、テストが捗ります。
  • 安定接続: ICS(有線)を使えば、Wi-Fiが飛び交う展示会や開発室でも、ラズパイとPCを安定して接続できます。

【重要】IoT開発で使う時の注意点 (特にICS)

開発で使う際に、1点だけ非常に重要な「お約束」があります。

開発者向けTips: IPアドレスは 192.168.137.1 に!

方法2の「インターネット接続の共有 (ICS)」を有効にすると、共有元であるPCの有線LANポート(イーサネット)のIPアドレスは、自動的に 192.168.137.1 に固定されます。

そのため、有線で接続するラズパイ側は、以下のいずれかの設定が必要です。

  • DHCP(自動取得)にする: PCが簡易DHCPサーバーとして機能し、192.168.137.x のIPを自動で割り当ててくれます。
  • 静的IP(固定)にする: ラズパイ側のIPを 192.168.137.10 などに固定し、ゲートウェイDNSサーバーのアドレスを両方とも 192.168.137.1(PCのアドレス)に設定します。

これを知らないと「有線で繋いだのにネットに繋がらない!」とハマりがちなので、覚えておきましょう。

必読!Windowsルーター化の「落とし穴」と注意点

非常に便利な機能ですが、万能ではありません。以下の点には注意してください。

  • パフォーマンス: あくまでソフトウェア処理のため、市販の専用ルーターと比べると通信速度が遅くなったり、接続が不安定になったりする場合があります。
  • PCの電源が命綱: PCがスリープしたり、シャットダウンしたりすると、当然ネットワークも切断されます。常時接続が必要な場合は、PCの電源設定を見直しましょう。
  • セキュリティ: PCがルーターの役割を担うため、PC本体のファイアウォールやウイルス対策ソフトが非常に重要になります。

結論: メインのルーターとして常時運用するには向きませんが、「一時的な利用」や「特定の開発用途」には最強のテクニックです。

まとめ

Windows PCの「モバイルホットスポット」と「インターネット接続の共有 (ICS)」は、知っておくと非常に便利な機能です。

  • 手軽にWi-Fiを飛ばすなら → モバイルホットスポット
  • 有線で安定接続するなら → ICS (IPは 192.168.137.1)

「Windows ルーター化」をマスターして、外出先での作業やIoT開発を、よりスマートに、より快適にしましょう!

 
※参考にされる場合は自己責任でお願いします。